今回は体を作っていきます
初めて体のモデリングに取り掛かったときは、後先考えず好き勝手にバシバシカットを入れて体を作っていました
まあ~ヒドイもんができましたよ
もう見るに耐えないレベルで酷かったです

じゃっく
もう雑過ぎて修正困難に・・・
もっとちゃんとよく考えながら分割を入れないと、後々苦しくなると痛感しました
ポリゴンが増えすぎるのもアウト
なので今回は
- なるべく効率よく作っていく
- なるべく解剖学に沿った体にする
- なるべくトポロジーをキレイにする
この考えで体のモデリングを進めてみました
それなりに良い感じにできたと思うので、今回もメモっていきます
ちなみに作る体は女性用です
キレイなトポロジーとは
まずキレイなトポロジーとは何ぞや?ということで、海外のサイトをちょっと覗き見

じゃっく
この手の情報は海外の方が多かったりします
自分の感覚ですが、こんな印象を受けました
- 三角ポリゴンが少ない
- 比較的ウェイトが塗りやすい
- ループ選択できる箇所が多い
- 関節周りが破綻しにくくなっている
- 筋肉の流れがある程度意識されている
良いトポロジーは見た目がキレイなだけじゃなくて、後工程が楽になるような感じがしました
特に印象的だったのは三角ポリゴンの少なさ
確かに四角ポリゴンで構成しておけば、形のイメージもしやすいですし、修正も楽にできそうです
ということで、体は基本四角ポリゴンで構成していきます
ちなみに3DCG界ではポリゴンの流れの事をトポロジーと呼ぶそうですが、元の意味は位相幾何学と言う数学用語らしいです

じゃっく
ちょっと一瞬「?」ってなる
仕様
いつもどおり仕様を決めていきます
こんな感じとなりました
キレイな胸の位置を把握しておく

よく分かっていなかったので調べてみたところ、画像のような逆三角形がデコルテにキレイに収まる状態が良いということが分かりました※デコルテ:首から胸元の間の空間
この基準の特徴は、どれだけ胸のサイズが変わっても、デコルテ自体のサイズは変わらない、とされていることです

じゃっく
覚えやすくて助かる
他にもブラを付けた状態で、のど仏と〇首を結んだ線が正三角形になるのもキレイな胸とされているようです
載せて大丈夫か分からなかったので、ここには載せていないですが・・・
これらの情報を元に胸を作っていきます
円柱形の最少角数は八角形にする
四角形も試してみましたが、扱いが難しかったので選択肢から外しました

じゃっく
ポリゴン少なすぎて無理でしたわ
八角形ならローポリでも曲げがキレイで、形づくりもそれなりできるので、最少角数は八角形としました
ゴールデンラインを通るようにする

ゴールデンラインとは体を横から見たとき、特定の部位を一直線で結べる線のことをいうそうです
一直線に近いほど横姿勢がキレイな状態であるとのこと
- 耳→肩→股→ひざ→くるぶし
- 後頭部→肩→尻→ふくらはぎ→かかと
これらの基準に沿うように注意を払いながら作っていきます

じゃっく
「ゴールデンライン 横姿勢」と検索をかけるといっぱい出てきます
首周りをループ選択できる状態にする
正式名称は分からないですが、参考として確認した動画ではピクサースタイルと呼んでいるようです
体感ですが他の作者さんのモデルを確認すると、あまりこのタイプは見ないような気がします

じゃっく
意外と少数タイプ?
少し気になったので、今回試しに作ることにしました
準備
下絵を用意

最低限の準備として下絵を用意
赤い点は手足の回転軸です

じゃっく
うまく描けたかな
この下絵を元に今まで作ったパーツを合体させて体を作っていくのですが、自分自身で気を付けていることはこんなことです
- 下絵は参考程度にすること
- ピッタリ合わせ過ぎないこと
- 平面ならではのウソに気付くこと
- たまに引いて全体を見るようにすること
- モデルをグルグル回して確認にすること
モデリング中はつい造形がおかしくなりがちです
なので、保存するタイミングや作業の区切りなどで、一旦確認するように心がけています
手順
前置きが長くなりましたが、手順はこんな感じになっています
最初に今まで作ったパーツを胴体と結合して、簡単な棒人間状態を作ります
そのあとは分割を増やしてディテールを盛り込んだり、必要な部位を後から付け足したりしてガチャガチャと作成
最後に調整をして完成です
かなり長くなっちゃいましたが、この流れで進めていきます
各部位を配置する

下絵に合わせて、これまで作ったパーツを置いていきます
手だけはある程度きっちり決めておきたかったので、下絵の点を軸にして回転させながら位置を決めました

じゃっく
だいたい太もも掴める位置くらい
下半身を作る

足首からエッジを引き出して、ひざ関節あたりにカットを追加
胴体の下部と結合して、太ももとすねにもカットを入れます
足の形の調整ができるようになるので、軽く調整しておきます

キリの良いところまで調整を進めたら、足の付け根にもう一本カットを追加
ちょっと割が足りない気がしたので増やしました

足の付け根を整えて、ちょっとだけ尻肉が見えるようにします
フェチポイントではありますが、こだわると時間がかかるのでほどほどに

じゃっく
なんかちょっと癖が漏れてる・・・
ここで一旦足の調整から離れて上半身の作成に入ります
上半身を作る

上半身の分割を増やして、同時にポリゴンの流れを変える作業に入ります
試作中にポリゴンが少し足りないことが分かったので、カットを増やすことにしました
ちょっと複雑ですが、画像のようにカット

カットをしたことで三角ポリゴンがいくつかできます
四角ポリゴンにしたいので、要らないエッジを消して変換

消すとこんな感じ
これだとよく分からないので、一旦軽く整えます

整えるとこんな感じ

じゃっく
良い感じになった
これで後の作業がやりやすくなります
ポリゴンの流れの変更は
- 流したい方向にカットを入れる
- いらなくなったエッジを削除する
いつもこんな感じでやっています
腕周りを作る

足と同じようにエッジを引き出した後、ひじ関節にカットを追加
上腕と前腕にもカットを入れていき、ちょっとだけ上に移動させておきます

じゃっく
実際に腕を水平にすると、ちょっとだけ肩が上がるため

元は破綻対策ですが、実際の腕の骨もねじれた状態なので、前腕をひねっておきます
「回転」ツールの「フォールオフ」を使って横画面から調整
角度は 60° くらいとしました

じゃっく
うまくいきますように

別で作っていた手を腕と結合
間に一本だけカットを入れます
肩の分割を変える

ここで首周りをループ選択できるように、分割の流れを変えていきます
旧記事ではかなり複雑と言いますか、手順が多かったので簡単にしました

じゃっく
だいぶ楽にしたつもり
まずは肩とワキにカットを入れます
背中側も同じようにカット

さらにカットを追加
ちょっと複雑ですが、画像のように複数のカットを入れます

あとは画像のエッジを選択して削除

背中側のポリゴンの流れが気になったので、ちょっと変えます
面を消して対角線上にあるポイントを「平均結合」で結合

じゃっく
これで OK

軽く調整して流れを確認
これで首周りをループ選択できる流れができました

じゃっく
よしよし 良い感じ
腹の分割を変える

腹回りのポリゴンの流れも気になったので、エッジの追加と削除を繰り返して流れを変えます
画像のように腹回りをカットして、いらないエッジを削除

さらに尻にかけてカットを追加します
一部三角ポリゴンができますが、後で対応するので一旦そのまま

いらないエッジを削除して、四角ポリゴン化します

軽く整えると腹から尻にかけて、ループ選択できるようになりました

じゃっく
少しずつ良くなってる

へそを作りたいので一部のエッジを消して、画像のようにへそが来るであろう周辺をカット
カットしたら円形に形を変えたり、奥にポイントを押し込んだりして、へその形を作ります

後回しにしていた三角ポリゴンを消すために、複数のカットを追加
あとはいらないエッジを削除して、四角ポリゴンに変換します
股の分割を変える

股下の分割というか造形が微妙だったので、こちらも変更
エッジを選択して「ベベル」を実行し、間にカットを追加します

こうすることで股が Y の字状にポリゴンが流れるようになります
フィギュアとかがこういった流れになっているので、一体参考用に持っていると良いかもしれません
首を作る

首を作るために一部の面を削除
ポイントをいじって円形にします

じゃっく
だいたいで OK

円柱を用意して体と繋げます
首はまっすぐ伸びているものではないので、ちょっとだけ斜めに回転
後は太さですがアニメ系の首の大きさ(太さ)は、両目の中心より狭ければ違和感が無いかなという印象です

じゃっく
一時期よく分からなかった
逆に両目の中心に近い幅だとリアル系だったり、男性っぽく感じます
鎖骨を作る

鎖骨は色を塗っているところを平らに押し込んで簡単に作ります

じゃっく
上から見たとき弓っぽくなるように
関節を作る

関節が来るであろうエッジを選択して、ベベルを実行
間にカットを追加します

関節の内側にあたるエッジを少しずらしておきます
これは曲げたときに、変形が不自然にならないようにやっています

じゃっく
違ってたらまた変えます
ここで止めてさらに形を変えれば、男性用の素体として使えそうです
胸を作る

ここからはみんな大好き、お胸(O.PP.AI)の作成に入ります

じゃっく
急にどした?
まずは半球を用意
- サイド:8
- 分割数:8
球体の背面の一部にカットを入れて、いらない部分を削除

胸は体からボォーンッ!!と垂直に出ているわけじゃないので、半球を体に沿わせるように配置します

じゃっく
ボォーンって・・・壊れた?
・・・横から見て少し上向き、上から見てハの字になるように調整

胸が来るであろう面を削除してポイントを調整
円形になるように地道に変形させます

じゃっく
だいぶ面積が広いじゃないの

半球を体に結合してキリが良いところまで調整
ひらがなの「し」とか、水風船が乗っかっていることをイメージしながら根気よく調整します
後の衣類にも関わるので・・・

じゃっく
また癖が漏れてるわ

半球の先端が三角ポリゴンなので、エッジを消して四角ポリゴン化
ただ、ここは好みの問題かと思うので、そのまま残しても良いかなと思います

じゃっく
体感的に三角ポリゴンの方が多い印象
最終調整する

ほぼ形ができたので、全身の調整に入ります
やったことは以下
- 胸の奥行きを少し変更
- 両足の幅を少し狭く変更
- 上半身と下半身を S 状に変更
- ゴールドラインに沿うよう変更
- 前から少し尻が見えるように変更
全体的にできるだけ実際の体の解剖学に沿って調整しましたが、多少の認識ずれはあるかもしれません

じゃっく
これが精いっぱいでした

その他には首の位置や胸の造形、股下の造形の調整を行いました

じゃっく
股下は形的には ω とか w っぽい形になるっぽい
完成

こだわりすぎると調整地獄に入って永遠に終わらないので、キリの良いところまで進めて完成です

じゃっく
長かった~
ポリゴン数はこんな感じとなりました
- ローポリ:2918
- ハイポリ:11672
まとめ
それではまとめです
- 下絵は用意して参考程度にする
- 円柱形の最少角数は八角形にする
- ゴールデンラインに沿うようにする
- 棒人間を作って少しずつ分割を増やす
- キレイな胸の基準位置は把握しておく
- 基本四角ポリゴンになるように分割する
- 国内だけでなく海外の情報も取り入れる
今回は効率化を図りながら、キレイなトポロジーになるように体を作ってみました
実際に効率が良いかは不明ですが、少なくともいい加減に作っていた時よりだいぶマシになっているはずです

じゃっく
作りやすくなった
もう少し最適化できそうですが、それはまたの機会に
造形に関してもまだまだ勉強不足だと思うので、引き続き学んでいきます
それでは、お疲れさまでした~
おまけ
顔結合&細分化後のポリゴン数

これまで作ったパーツを合体させて、その状態のポリゴン数を確認してみました
- 細分化オンリー:18716
- 細分化&三角ポリ化:37432
MMD 用のモデルを作っていますが、「素体状態でこれかぁ・・・ちょっと多いかも」なんて思っていました
ただ、他の作者さんのモデルでも普通に△で 50000 超えとか普通にあったので、極端に心配する必要はなさそうです

じゃっく
MMD 用では大丈夫でした
ただ、VRChat 用のモデルとなると話が変わってきます
プラットフォーム | △ポリゴン数 | 判定 |
---|---|---|
PC | 70000 | Medium |
Quest | 15000 | Medium |
せめてこれくらいのポリゴン数に抑えないといけないらしいです
ポリゴン数だけでなく、テクスチャの容量とかボーンの数とかも気にしないといけません
もし作ろうとした場合は、難易度が跳ね上がりそうな気がします

じゃっく
重すぎて動かなかったらシャレにならない・・・
これもまた勉強ですね
参考資料
使用ツール
- 3DCG
- LightWave3D
- 動画
- Bandicam
- ScreenToGif
- 画像
- CLIP STUDIO PAINT PRO