LightWaveで髪の毛を部位ごとに分けてモデリングしてみた
髪の毛のモデリング、やっていきます。
服も種類が多数あるので同様に難易度が高いと思いますが、個人的に恐らくモデリングの中で最も難しい部位なのではないかと思っています。
しばらく何度も作り直していました。
作ってはボツ作ってはボツの繰り返し。
だいぶメンタルに来ました。
最終的に納得のいく作り方(流れ)ができたので、忘れないように記録を残していきます。
※2024/10:内容を一部変更
モデリング前
今のレベルでも作れそうな髪型を探る
まずまともな髪の毛を作ることになるので変に難しいのは選ばず、今のレベルでもできそうな髪型から進めることにしました。
リストに挙げるとこんな感じのもの。
- 前髪が左右対称
- ショートカット系
- 額が出ていないタイプ
これらの条件を満たすものを探しました。
そこで参考になったのがこちらの夏森轄(なつもり かつ)さんの動画になります。(動画が長いのでWifiでの視聴を推奨)
内容はすごい分かりやすかったです。
動画の方ではBlenderを使用していてカーブという機能を使っていますが、LightWaveにはどうやら備わっていないので地道にゴリ押しで作っていくことになりそうです。
下描きを用意
モデリング前に下描きを用意しました。
作成前に少し参考画像を漁ってみましたがショートボブ系の髪型、たくさんありました。
そして版権物もありましたが、今回は除外します。
いきなり版権物は挫折しそうなので、簡単に下描きを用意してモデリングすることにします。
正面はこんな感じ。
前髪は左右対称で構成して程よい難易度にしてみました。
こちらは横顔。
正面顔とのつじつまを合わせたつもりですが、ちょっと間違えているかも。
ただボリュームとかを参考程度に使うだけなので問題なし。
ひとまずこれでモデリングを開始します。
モデリング開始
球を用意
球はサイド分割は32、縦分割は10で作成しました。
頭頂部と下半球は要らないので削除。
髪を作る方法として見かけるものが
- 球から作る方法
- 板ポリから作る方法
- カーブから作る方法
などいろいろありましたが、今回は球から作る方法で進めていきます。
分割準備
次は球をブロックごとに分割していきますが、その前に少しだけ角度変更を加えます。
理由は3つ。
- 顔モデリング時に後頭部を少し上に寄せている
- 横髪を下した時にまっすぐになりすぎることを防ぐ
- 顔の面の角度と合わせた方が違和感をあまり感じない
顔モデリング時に後頭部を少しだけ上に寄せたのは、上げた方がより頭らしく見えたからです。
部位ごとに分割
ブロック分けですが
- 前髪
- 横髪
- 後髪
動画を参考にこの3つに分割しました。
これは “髪の毛を描く時は部位ごとに分解して考えると描きやすい" という情報をよく目にしますが、それと同じような考えだと思います。
毛束のエッジ幅を調整して分割を実行。
それぞれの部位を別レイヤーに配置します。
前髪の作成
前髪は房ごとにカット&ペーストしてさらに細かく切り分けていきます。
こうすることで髪の毛の境目を作りやすくするのが狙い。
先端はちょっとだけ隙間を開けておきます。
中心の房を下絵と同じくらいまで引き延ばしていきます。
毛先に行くにつれて薄くなるように縮小して、最後に面を削除。
削除しておくことで細分化した時に丸くなることを防ぎます。
他の房も同じように処理を加えていきました。
もしまだ毛先の調整をしたい場合は毛先端の面は消さずに残しておいた方が良いかもしれません。
最後の調整時に消せばOK。
一度ここで細分化テスト。
毛の境目も埋まっててきれいになっていますね。
こうゆうのを楽にしたかった。
頭頂部側の方が丸くなっていますが、まだ調節するのでそのまま。
横髪の作成
横髪は前髪を覆うような感じなので、少し大きくします。
一気に大きくしたいので、まだ房は分けないでおきます。
大きくする方法はノーマル移動(法線移動)でサイズアップします。
サイズ変更後は房ごとにカット&ペースト。
厚みツールで厚み付けを実行します。
厚みはだいたい頭皮に触れるくらいとしました。
毛先を作っていきます。
初めは必要な長さまで伸ばして、後から中間にカットを加えるという方法で作成しました。
個人的にはこれが楽な方法。
別の房も同じように作成。
後は細分化テストで房同士がくっついていたり、ポリゴンエラーが無いかチェック。
後髪の作成
次は後髪。
横髪を少し大きくした関係で後ろ髪のサイズが足りないので少し大きくします。
ここでもノーマル移動(法線移動)でサイズ変更。
横髪と合うように調節しておきます。
後髪も房ごとにカット&ペースト。
そして厚みを加えます。
ボリュームが欲しいので結構がっつり厚めにしておきました。
後は髪を押し出していきます。
押し出しやすくするために一段押し出した後、少しだけ先を縮小して隙間を作成。
さらに押し出して横髪の先端くらいまで延長します。
髪がまっすぐ過ぎて変なので髪を首の中心方向に移動。
画像は真下から見たものになります。
この時、内側と外側のポイントを別々に分けて調整を行うようにしました。
これはいっぺんにやるとただ毛先が大きくなるだけで違う挙動になるためです。
分割が足りないので一本カットを追加して微調整。
そして、先端の面を削除します。
細分化テスト。
一旦これで前髪・横髪・後ろ髪の大部分は問題ないはず。
頭頂部の作成
ここからは頭頂部の調整となります。
まずは前髪の方を弄っていきます。
面を選択して押し出しますが、横髪で隠れる位置まで引き延ばして高さ位置も調節します。
後は先端の面は不要になるので削除。
面を延長しているので念のために再度細分化テストをして、房同士が結合されていないかチェックしておきます。
横髪も前髪と同じように先端の面を選択して押し出し。
そして互いの面を交差させて先端の面を削除します。
これでOK。
後髪も同様。
少し難しいですが画像のように房ごとに押し出して、交差&末端の面を削除していけば問題ないです。
情報量の増加
そろそろ終盤ですが、まだ髪の毛としての情報量が足りない感じがします。
横から見ても後ろから見てもまだ頭皮というか肌が見えてしまう。
これを解決するため、他の髪からコピペして増毛していきます。
まずは横髪の一部をコピペ&拡大縮小ツールでサイズ調整をして位置も良い感じのところに配置。
参考動画と同じように後髪も一部をコピペして縮小&位置調整。
首の根元の毛もコピペして位置調整します。
違和感ないように角度も付けていますが、本当なら下地を用意した方が良かったかなと思ったり思わなかったり・・・
下地ありの髪の毛はまた別の時に作ってみようかな?
ボリュームの調整
最後の毛束の厚みを調整していきます。
やはりまだボリューム感が足りないので調整には3rdPowers社のLWBrushのスムース機能を使いました。
なぞるだけでポイントが盛り上がるので非常に楽に調整できます。
隙間埋め
隙間が無いかを確認します。
もし隙間があったら地肌が見えなくなるまで埋めていきます。
画像では横髪と後ろ髪との間に隙間があったので面を移動させて修正。
前髪の調整
さらに前髪を調整。
横から見てだいたい髪の毛の全体が球体ぐらいになるまで前髪を出しました。
毛先は内側にカールするように調整。
完成
最後に全体を確認して完成とします。
細分化前は1184ポリ、細分化後は4736ポリとなりました。
もし細分化時に房と房との間に隙間がありましたら、LWBrushのPush/Pullのブラシを使って修正します。(Zbrushのinflatブラシの挙動と似ています)
もし持って無い場合は・・・ドラッグネットとかで地道にやるしかないかも。
こちらはすべてのパーツに細分化を加えたものとなります。
髪の毛だけでなく、まつ毛とかハイライトにも細分化をかけました。
こちらは7244ポリ。
いや~ ここまで長かった。
何回作り直したことか・・・・
しばらくの間うまくできなくてスランプ気味になりましたが、何とかなってよかったというのが今の気持ち。
今後もいろんな髪型を楽にできる方法を探っていきたいと思います。
ツンツンヘアーとか左右非対称ヘアーとか。
以上です。
お疲れさまでした。
おまけ
後髪の分割違いによるUV展開図
今回採用した後髪はA案ですが、実はB案も作っていました。
B案は途中から房が別になっているタイプです。
色分けすると画像のようになります。
B案は頭頂部を作るのは楽ですが、個人的にはUV展開がちょっと・・・という感じがしました。
こちらは不慣れながらUV展開をしてみたもの。
A案は短冊状にきれいにできるのに対して、B案は簡単にUV展開をすると扇状になってしまいます。
これは個人的には少し塗りにくさを感じてちょっと嫌だなぁと。
それでもB案を採用しているモデルも多いので、やっぱり慣れ・・・かなぁ。
B案でも時間をかけて気合も入れればこれくらいまでにはなります。
ただ房の根元から無理矢理ぶった切っているので、塗った時の境目が目立ちそうで良くないUV展開かもしれません。
髪の毛モデリングの変化の軌跡
せっかくなんで今の方法が出来上がるまでにテスト作成してみた髪を載せていこうと思います。
こちらは最初期につくったもの。
房一枚一枚別ポリゴンで構成しようとした・・・のだが途中で何かに気づきボツ。
横髪の頭頂部がなんか変だし違うと感じたかもしれない。(古すぎて覚えてないw)
こちらは初めてまとも作った髪ですが、残念なところが見える。
プロトタイプということもあってアホ毛をつけてみたり、影用のポリゴンを入れ込んでみたり試行錯誤した形跡がありますね。
房の境目が細分化したことで丸くなってしまっているのが良くない感じがします。
房ごとにポリゴン分けしていたものを途中で結合しちゃったのがまずかった。
あとは全体的に薄くてとげとげしくてなんか髪の毛らしくない。
なんか違う。
ということでこれもボツ。
こちらは楽に房の境目を作ろうとして初めから房同士が結合してる状態から作成したもの・・・だったかな。
簡単に作るために球から髪の毛を作ってみようと考えました。
毛の境目を表現しようとしてポリゴン数を増やしてみましたが、なんかコレジャナイ感が発生。
まだ毛の厚みも薄いしポリゴン数も妙に多くなってしまったのでボツ。
今回作ったものと最も近いのがこちら。
前髪はぺらぺらで残りの横髪と後ろ髪は押し出しで房を作る方法をとりましたがこれも失敗。
前髪ペラペラはまずかったかも。
いや 立体的に見えるように何らかの処理を加えるべきだった・・・かな?
迷走しまくってこちらもボツ。
こんな感じの試行錯誤を数回繰り返しました。(苦しい・・・w)
おかげで自分にとってやりやすい方法が構築できたわけですけど、分かったことはプロトタイプでも良いからとにかく突き進んでやってみることだと改めて理解しました。
失敗から分かることもあるので。
あとはもっと参考資料を見ようと思いました。
パクリ気味になったら嫌だなという気持ちもあったので、ちょっとためらっている時期がありました。
ここも改善していきたいですね。
というわけで以上です。