手のモデリングを楽にする方法を考えてみる【特に親指】

2019-12-29

今回は手のモデリングですが、これまで練習で何度か作ったことはあります。

ただ難しいですよね。

なるべく少ないポリゴンかつきれいな見た目にするためにポリゴンの割り方でかなり苦労していました。

特に親指の位置と角度。

全体の見た目も違和感があり、なかなか次へ進めませんでした。

ただしばらく作り続けている内に

  • 指を扇状に広げる
  • 親指の根本を回転&結合する

これでうまく行くことに気づいてからは少しは気持ちが楽になりました。

そんなに神経質になる必要はなかった。

というわけで今回もメモメモ。

※2024/5:内容と画像を変更しました。

モデリングの前に

作り方調査

手のモデリングにはどんな方法があるのか調べてみました。

  • 手のひらと指をまとめて造形するか否か
    • はい
      • 平面から押出しして作成
      • スカルプとしたものをリトポして作成
    • いいえ
      • 手のひらを先に作成
        • すべての指を押し出して作成
        • 中指を作成したあと残りの指を複製して作成

大きく分けると一気に作る方法と手のひらと指を分けて作る方法があるようです。

ペラペラの平面から一気に作るのもアリですが、手のひらと指を別々で作る方法でやってみます。

モデリング開始

ボックスを用意

まず初めにボックスを用意します。

下絵は無しです。

何故なら描けないからです・・・はい。

なので自分の手を見ながら作ります。

サイズは以下寸法としました。

向き長さ(mm)
高さ20
横幅80
奥行90

作りたいキャラクターの身長は160cmとしています。

顔は確かだいたい25cm角にしていたので、手のサイズが全長17cm程度ならバランス的に悪くならないはず。

手のサイズはキャラによって変わりますが大人だと比率的にはあごから額を覆えるくらいとのことなので、その情報に従って作っていきます。

分割と面取り

横に1本、縦に3本カットを追加。

このカットは指の位置決めと水かき用です。

あとで指を作るので、正面の4面を面取り(ベベル)。

拡大縮小ツールでベベルした面サイズを少し調節していきます。

縮小サイズは適当ですが、とりあえず数値はこんな感じ。

指名称パーセンテージ(%)
人差し指95
中指100
薬指95
小指85

手のひらの形状を簡単に作っておきます。

まず2か所の面を選択して、真下に下げておいて

そして少しだけ曲面状に調整。

親指が来る位置にもう一発ベベルをかましておきます。(いっぺんに指周りをベベルしても良かったかも)

細分化&水かき分割

ここで細分化(メタフォーム)を実行します。

するとうまい具合に八角形ポリゴンの面が自動的につくられるので、これを利用していきます。

現状だとエッジが6本集合している箇所があります。

この部分は良くないとされているものなので消します。(シワが強めに入ったり変形が良くなかったりするようです)

まずは一直線にカットを入れて、画像のようにさらにカットを追加。

これを表裏に実行。

そして要らないエッジを選択して削除。

これで6本エッジが消えてマシな状態になりました。

指の根元部分の分割変更

さらに分割を変えていきます。

手順は

  1. 手のひらと指の根本関節の上側にカットを追加
  2. 横から見て画像のポイント3つ選択してを結合
  3. 最後に要らないエッジを削除

これでよくなればOK。

駄目なら別の方法を考えます。

指の作成

次は指の作成に入ります。

よくあるやり方として

  1. 中指用の円柱を生成
  2. 爪や関節を作成
  3. 中指を複製
  4. 位置や角度を調整

といった以上の方法がありますが、今回はあえて伸ばす方向で進めていきます。

中指は手のひらと同じくらいとされていますので80mm、各指の長さは中指を基準に自身の手を見ながら決めました。

指名称長さ(mm)
人差し指75
中指80
薬指75
小指55

延長後の指は上部のポイントは動かさず、先細になるように縮小。

手首も少し伸ばしておきます。

指の関節位置と爪の作成

関節位置を決める比率としては画像のように2パターンあるようですが、ここではAの三分割タイプで進めました。

爪の作り方は以下の方法。

  1. 爪を作りたい面を選択
  2. 拡張して下へ押し込み
  3. 再び拡張して上に引き出し
  4. 拡張して必要な長さまで引き出し

ん~簡単。

※このやり方は昔LightWaveの代理店であるDstormのチュートリアルにありましたが、サイトがリニューアルされたタイミングで消されちゃったみたいです。ちょっと残念。

さらに指先の面も押し出しと分割を実行して、先っちょは少しだけ上向きにしておきます。

同時に爪も直角になっちゃっているので、爪らしく調整。

足の爪も同じ方法でやってます。(ただもっと良い方法がありそう)

関節の調整

カットを追加して関節部分にベベルを実行。

関節はほんのちょっとだけ盛り上げ、指は曲げずにそのまま真っすぐにしておきます。
※以前は指を曲げていましたが、狙い通りにならなかったのでやめました。

指の根元の伸びる部分がなるべく広くなるようにエッジを移動。

これは指を曲げたときの破綻を少なくするためにやっています。(実際の指もなんか指の根本が斜めに生えているっぽい)

親指の作成

親指は中指からコピペ。

根本を太めにしたり、長さを短めにしたりして簡単に作っちゃいます。

親指は他の指と違って傾いているので、45°くらいに回転させて手のひらの隣に移動。

高さ位置はだいたい人差し指の第2関節より下ぐらいとしました。

親指の根本を軸にして

  1. 横から見て約15°回転
  2. 上から見て約30°回転

これでOK。

回転させる順番を横から始めるか上から始めるかで微妙に位置が変わりますけど、個人的には横から始めたほうがしっくり来ました。

親指の結合

親指を手のひらに結合します。

親指の位置はもう少し調整する必要がありますが、全体の調整時にやることにします。

手のひらの分割変更

手首付近の分割数が8じゃないので、分割を変更していきます。

画像のエッジを選択して一旦削除。

そしてハの字状にカットを追加。

これを裏表にやります。

全体の調整

指の高さが水平なので中指以外を少しだけ弧を描くようにずらします。

あんまり指を下げすぎると今度は水かき部分が破綻するので、破綻しない程度に調整。

また各指にひねりを加えずそのままにしておきます。(以前のバージョンでは中指以外を少しひねっていた)

中指以外を扇状に広げていきます。

  • 人差指:時計回りに約10°
  • 薬指:反時計回りに約10°
  • 小指:反時計回りに約20°

扇状にしたのはグーにした時、水かき部分が比較的自然になることが分かったためです。

以前の指が真っ直ぐバージョンだと思った以上に隙間が空くに加え不自然に感じました。

最初は骨入れが心配でしたが指を回転させた角度さえ覚えていればそれほど苦労しないことも分かったので、より簡単な方法として取り入れました。

あとは親指は思ったより手のひら側に近いことが分かったので、もっと寄せておきました。

手のひらが真っ平らなので自分の手を見ながら肉厚を増やしていきます。

Altキー+矢印キーとLWBrushでちょっとずつ厚みを調整。

思ったより厚みがあるかもしれません。

全体を見直して完成

もう一度全体を確認。

ポリゴン数は624ポリ。

これまで指はまっすぐに伸ばしたままでしたが、扇状に広げることでより手らしく見えるようになったかなと思います。

全長は大体17cmくらい。

これで手は完成です。

お疲れ様でした。

使用したツール

  • ペイント:ClipStudio Paint Pro
  • モデリング:LightWave 2020.0.3

おまけ

実は何度も作り直している

実は何度も作り直しています。

昔から見ている人なら分かると思いますが、作り直してはブログの更新も何度も繰り返しやっていました。

今までの手を公開するとVer.1~3まであります。

初めて作ったバージョンであるVer.1親指がありません。

どうやら作っている途中でこりゃダメだなと判断して止めていたようです。

もう古すぎて覚えていない・・・w

恐らく指の水かきと手首の根本や中心が気になっていたかもしれませんね。

Ver.2に関しては2022年の初頭に作ったもので、半年ほどブログに乗せていました。

ただ手のひら中心に大の字ポイントがあるのが気になってしまって・・・作り直すことに・・・(何か違うんだよなー)

作った当日は良いと思っても何故か日をまたぐとなんか違うなぁと気付く・・・

この現象なんすかね(^^;)

Ver.3は2023年頃に載せたモデルですけど、2種類作ってました。

もうどっちにしようかと。

ぱっと見右側の方がポリゴンが少なく見えますが、実は両方とも同じ642ポリゴンなんです。

今回は左側を選びましたが、後の作業によってはまた変更を加えるかもしれません。

とこのように色々試したりして何度も更新してしまっています。

本当はあんまりコロコロ変えたくないですが、必要なら更新することにしています。

ver.4での変更点

今回再び変更を加えてver4を作ったので一個前のものと比較してみました。

  • 指は扇状に変更
  • 指はまっすぐに変更
  • 関節は肘や膝と同じタイプに変更
  • 親指をもっと手のひらに寄せるように変更

ポリゴン数も狙ったわけじゃないですが642ポリ→624ポリに削減できました。

変更した理由
  • 指の変形時の形状が良くなかった
  • 指を曲げたときの形状が機械的で不自然だった
  • 水かき部分にスキマが思ったより大きく空いてしまった

同時に古さも感じていたので造形そのものを変更することにしました。

こちら上から見た図ですが、お"ぉ"ん"・・・・

歪んでますわ・・・こうやってみると前バージョンだいぶ歪んでる・・・

何でこれでGOしちゃったんだ当時の自分はww

まるでJの字みたいになってますね。

あとはやっぱり扇状に指を並べた方がより自然に見えます。

こうやって過去のものを見比べると少しずつ良くなっているのが見えてなんか楽しいですね。

これからもガンバリマス。

寸法まとめ

160cmくらいのキャラを作る場合の手の寸法を表にまとめておきます。(たぶん合っているはず)

まず指の標準的な長さの基準値はこの表としました。

第3関節から測りました。

長さ(mm)
親指60
人差し指75
中指80
薬指75
小指55

そして手のひらの基準値はこの表。

手の平長さ(mm)
高さ20
横幅80
奥行90

ただ結局最後の調整とかでズレちゃうんで、寸法入力してまで作るのはちょっと微妙かも。

それでもある程度作りたいキャラの身長の基準値を知っていれば、作る時の違和感は少なくなると思っています。

改めて設計とか土台作りって本当に大事だなと感じました。

以上。

モデリング

Posted by じゃっく