今回は手のモデリング

作り始めの頃、手順を減らすために手のひらから直接指を生やしましたが、これが想像以上に難しかったです

特に親指周りが難しくて何度も出戻りが発生しました

じゃっく

全然狙った状態にできない・・・

そこで直接親指を生やすのではなく、別々で作ってみたところ、思いのほか良い感じにできました

難しかったことが簡単に感じられたのは大きかったです

今回はその手の作り方について、メモっていきます

仕様

作り始める前にある程度の仕様を決めておきます

こんな感じとしました

親指は別パーツにする

初期のやり方では、全ての指を手のひらから伸ばす方式でした

親指以外は簡単に作れますが、親指は斜めに生えているせいかサイズや位置調整が難しかったです

時間がかかることが分かったので、ここでは親指を別パーツにして作っていきます

調整も含めて楽に作るのが狙いです

指の各部位の寸法を決めておく

作ろうとしているキャラクターは六等身で身長約 160cm 程度のアニメ調のキャラです

多少は変化しますが、頭の縦幅はだいたい 25cm としています

成人の手のサイズはだいたいアゴから眉間あたりなので、だいたいこんな感じになるはずです

部位名称長さ(mm)
親指60
人差指75
中指80
薬指75
小指60
手幅80
全長160

自分の手とも見比べながら決めました

同じ身長でも結構ばらつきがあるので目安程度ではありますが、ある程度決めておけば造形不良が起きずらくなるかなという考えです

エッジが 6 本密集しないようにする

一つのポイントに対してエッジが複数密集しているものを「ポール」呼ぶそうですが、これが 6 本以上密集しないようにします

自分の感覚的なものも入っていますが、以下のデメリットがあります

  • 汚く見える
  • 調整しにくい
  • シワができやすい

作るものによっては、もしかしたら 6 本エッジを使わないとできない造形物もあるはずなので、絶対に作ってはならないというものではないと思います

ただ、今のところメリットが無いので密集しそうなら避けるようにします

手首と指の最少角数を八角形にする

四角形でも試してみましたが、やはり少なすぎるのか爪などの形がうまく出せませんでした

メカ系なら四角でも良いかなと思いましたが、調整のしやすさや曲げ具合の良さから円形部位の最少角数は八角形でいくことにしました

手順

それでは手順です

手を作っていく手順はこんな感じとしました

最初に手のひらを作って、親指以外の指を作ります

そのあとに親指を別パーツで作って、角度を決めてから結合

最後に気合でサイズなどを調整して完成、といった流れです

手のひらを作る

STEP1
カットを入れたボックスを用意する

まずはボックスを用意します

ボックスの設定は以下

ボックスの設定
  • 幅:80mm
  • 高さ:20mm
  • 奥行:80mm

さらに指の本数分のカットと、親指用のカットを追加します

STEP2
各指用のサイズに調整する

面をベベルで少し手前に出して、面のサイズを変更します

数値は感覚で決めたものですが、こんな感じとしました

指ごとの縮小比率
  • 人差指:95%
  • 中指:100%
  • 薬指:95%
  • 小指:85%

STEP3
形の調整と親指面にベベルをかける

二つの面を選択して少し下へ下げます

じゃっく

親指側を少し深めに

真上からも見て少し曲線状に調整

後の面はいらないので削除して、親指側にもベベルをかけます

STEP4
細分化をかけて八角形の面を作る

「細分化」を起動して「メタフォーム」を実行

細分化をするとベベルした面が八角形になるので、後でここから指を作り出します

じゃっく

こうゆうのを最短で楽に作りたかった

STEP5
水かきの分割を変える

水かき部分にエッジが 6 本密集しちゃっているんで、分割の流れを変えて避けます

画像のように密集している箇所を一周するようにカット

いらないエッジがあるので削除して、密集箇所が消えたら軽く調整しておきます

STEP6
カットの追加と削除

二本ほどカットを追加して、画像の三点のポイントを結合

さらに不要なエッジを削除して、四角ポリゴン化します

手のひらから指を作る

STEP1
指を伸ばす

細分化でできた八角形の面を引き出して、指を作ります

長さは決めた寸法です

指は少しすぼんでいる感じの形をしているので、ちょっとだけ先を縮小して上側にそろえます

STEP2
カットの追加と指先の調整

指の関節用と爪用のカットを追加

ついでに指先も、より指らしく上向きに変形します

STEP3
爪を作る

面を押し込んだり引き出したりして爪を作ります

この方法、実は某代理店で掲載されていたのですが、サイトのリニューアルのタイミングで情報が無くなってしまったようです

じゃっく

参考にしてたのでちょっと残念

STEP4
分割を増やして関節を作る

カットを増やして、関節部分のエッジにベベルをかけて関節を作成

関節位置のエッジの高さをちょっとだけ上げて、指の肉っぽい曲線を出します

STEP5
指の根元のエッジを広げる

指の根元のエッジを広げて、曲げたときに自然な変形になるようにします

親指と手のひらを結合する

STEP1
親指を作る

別レイヤーに親指を作ります

  • 他の指から複製して作る
  • 八角形の円柱から新たに作る

好きな方法で作成します

じゃっく

親指なので気持ち太め

STEP2
親指を手のひらの隣に置く

親指を回転させて、手のひらの隣に置きます

回転角度と位置は以下としました

親指の角度と位置

角度:45°くらい

位置:人差し指の第二関節くらい

自分の手を見ながら決めました

STEP3
親指をさらに回転させる

親指の位置をより自然な感じにするために、さらに回転

横画面から始めて、手のひらと親指の中心軸が交わったところを中心にして角度を変えていきます

横からと上からの親指の角度
  • 横:15°
  • 上:30°

じゃっく

横から始めるか上から始めるかで微妙に角度位置が変わることに注意

STEP4
親指と手のひらを結合する

手のひらと親指を同じレイヤーに置いて結合

結合したら手首側のエッジを少し伸ばしておきます

手全体の分割と形を整える

STEP1
ポイント数の調整とポリゴンの流れを変える

手首側のポイントが 20 ポイントもあります

これでは後に繋げる腕とのポイント数と合わないので、ポリゴンの流れを変更します

じゃっく

腕は八角形で作る予定

一旦いらないエッジを消して、画像右のように改めてカットを入れてポイント数とポリゴンの流れを変えます

STEP2
指の高さをアーチ状に変える

指が水平にまっすぐ並んでいるとおかしいので、アーチ状にちょっとずつ高さを変更

ちょっとずつ動かしたい時は、ALT+ 矢印キーが便利です

STEP3
指を扇状に広げる

指を扇状に広げます

親指と中指以外の指の角度を以下のように変更

指の角度
  • 人差指:10°
  • 薬指:10°
  • 小指:20°

STEP4
手のひらに厚みを出す

手のひらが薄すぎるので厚みも調整します

「ドラッグネット」や 3rd Powers さんの LW Brush で調整

自分の手を見ながら、ちょっとずつ調整します

じゃっく

思ったより厚みあり

他には手の横幅を狭めたり、親指をもっと手のひらに近づけたりして調整

完成

キリが良いところまで進んだら完成です

じゃっく

できました~

ポリゴン数はこんな感じになりました

  • ローポリ:624
  • ハイポリ:2496

まとめ

それでは今回のまとめです

まとめ
  • 手は親指と手のひらで別々に作る
  • エッジが 6 本密集しないようにする
  • 手首と指の最少角数は八角形にする
  • 指や全長の寸法はある程度決めておく

今回は手をなるべく簡単に作りたいということで、親指を別で作って後から結合する方式で手を作ってみました

作り初めの頃は、謎のこだわりで手のひらから直接伸ばして作っていましたが、これがアウト

バランスがおかしくなったり、形が満足いくような状態にならなかったりして少し苦しかったです

じゃっく

造形力そのものも壊滅的に悪かった

キャラクターモデリングを始めるとなると、顔は比較的もっと良くしたいという欲からか調べることが多い傾向にありますが、手足はあんまり気にして見なかったような気がします

全身を作るのであれば、もう少し気にしてどの部位も満足できる出来具合にしていきたいところですね

それでは、お疲れさまでした~

おまけ

初期型と比較してみた

これは親指を別で作ろう作戦の初期頃の手と、今回ここに乗せた手の比較です
※旧記事では画像が多すぎたので、画像を一つにしました

古い方はまだ手の比率とかがよく分かってなくて、ほぼ感覚だったような気がします

今見るとだいぶおかしいですね

画像は同じ比率で撮っています

じゃっく

なんか手ぇなっがっ!

新しい形になるのに試したことはいろいろありまして、例えばこんなもの

  • もっと手のひらを厚くしてみる
  • 指を少し曲げた状態で作ってみる
  • 親指をもっと手のひら側に寄せてみる
  • 水かき部分のエッジをあえて密集状態にしてみる

こんな感じですね

ボツになって出戻りしたものもあれば、おっ!これは良いんじゃないかと思って取り入れたものもありました

数回作り直しが発生しましたが、おかげでちょっとずつ良い形になってきたのが少し嬉しかったです

まだ最適化できそうな部分があったら、今後も作りながら試していきたいと思います

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